10/27/2009

A book I read

とある場所でたまたま隣り合わせになった人(チリ人の、5歳の男の子のお父さん)から推薦されて読んだ本。タイトルは「ボーイズ・アドリフト(彷徨える少年たちとでも訳しましょうか)」 。筆者は 心理学者でもあり医師でもあるレオナルドサックス。興味深くコワイ本でした。概要はこう。

今年、現実の世界で生きることに何のパッションも抱けず、定職に付くわけでもなくその日暮らしの生活をしており、自立しようという気力を全く欠いているわりには、そんな自分に罪悪感や劣等感を抱くわけでもなく、親、ガールフレンド、妻に寄生して生き続ける男性が増加している。今や、アメリカは女性優位の時代に突入した。アメリカでの平均的大学の性別構成は、女子58%、男子42%と逆転。18歳から35歳までの男子で親の家に住んでいる者の割合は、ここ30年で倍増(女子の場合は横ばい)。

原因としては;
1. 過去30年間のうちに起こった学校教育の変化
- 幼児教育や小学校教育での、教育の早期化;男の子は女の子より成熟が遅れるので、同じ5歳、6歳でも学校教育に対して精神的に準備が出来ていないことが多く、不適応を起こす。
- 体験や知覚による知識の教授から、本やペーパー上での知識の教授への変化;実際に触ったり、聞いたり、見たりする体験は男女ともに大切だが、とくに男の子のほうがこれを求める傾向が強く、机上での学習だけでは、学ぶ意欲につながらない。
- 全員平等のもと健全は競争をなくしてしまったこと;男の子の中には競争によって闘争心ややる気が伸ばされるタイプも多いのに、負ける子をつくると子どもを傷つけるとの判断から健全な競争までとりさってしまった。

2. ビデオゲーム
本来男の子が持つ、パワーやコントロールを獲得したいという要求が、バーチャルな世界で簡単に満たされてしまい、わざわざ大変な思いをして現実世界で頑張ろうというモティベーションを低くしている。

3. ADHDのためと名をうった過剰投薬
- クラスで手をやく子どもがいると早々にADHDの検査をすすめる先生、正確にADHDを診断するためのトレーニングと経験を欠くため「とりあえず」投薬を薦める医師、たとえADHDでない子どもであっても投薬をすると集中力が高まり成績が向上することから、投薬されることを好む親という三つ巴により、2007年リタリンやデクセドリンなどの投薬を受ける男の子の数は、1987年時点の30倍。2006年現在、アメリカで精神系の投薬を受ける子どもの割合は、ヨーロッパのそれの少なくとも3倍。
- ADHDのために投薬される薬は、たとえ短期間の使用でも、患者の性格を変化させ、ひいては怠惰にさせたり、いらいらしがちにしたり、やる気を喪失させるというリサーチ結果がでている。

4. 内分泌撹乱物質
数ある内分泌撹乱物質のなかでも筆者はPETボトルなどに含まれるポリエチレンナフタレートの危険性を訴えている。この物質は、女の子の思春期(特に体の発達)を早めるとともに、男の子の場合は思春期(同じく体の発達)を阻害し、男らしくなくさせるというリサーチ結果がでている。

5. 男らしさのロールモデル、男らしさとは何かという価値観の欠如
男らしさというものは、体の成長とともに自然に与えられるものではなく、本人が自分で獲得するものである。獲得にあたっては、身近にいる男性のロールモデルから価値観を学びとったり、周りの人々から男に期待する価値観を感じ取り、それを自分のものとしていくというプロセスが必要である。しかしながら、家庭や地域コミュニティーというものが崩れつつある今日、目指すべきロールモデルが身近にはおらず、また「男はこうあるべきだ」という価値観を教えられる機会のない子どもも多い。男女平等が叫ばれ続けた昨今、それぞれの性別に異なる役割を期待すること自体、「正しくないこと」と判断されがちであり、「女らしさ」、「男らしさ」という言葉はほとんど聴くことがない。

This is a book I read recently, recommended by a person whom I met in a waiting room somewhere. He was a Chilean father of a 5 year old boy. This was a very interesting and scary book. Since I am just so tired from writing the above Japanese summary, I decided to steal a summary from Amazon.com for English.

__ from Amazon.com__
Family physician, research psychologist, and acclaimed author of Why Gender Matters, Leonard Sax reveals the truth about what's driving the decline of American boys--and what parents can do about it.

Something scary is happening to boys today. From kindergarten to college, they are less resilient and less ambitious than they were a mere twenty years ago. As for young men, it turns out the film Failure to Launch is not far from the truth. Fully one-third of men ages 22-34 are still living at home with their parents--about a 100 percent increase in the past twenty years. Boys nationwide are increasingly dropping out of school; fewer are going to college; and for the first time in American history, women are outnumbering men at undergraduate institutions three to two.

Parents, teachers, and mental health professionals are worried about boys. But until now, no one has come up with good reasons for their decline--and, more important, with workable solutions to reverse this troubling trend. Now, family physician and research psychologist Dr. Leonard Sax delves into the scientific literature and draws on his vast clinical experience to propose an entirely original view of why boys and young men are failing in school and at home. He argues that a combination of social, cultural, and biological factors is creating an environment that is literally toxic to boys, ranging from environmental estrogens to the over-prescription of ADHD drugs. And he presents practical solutions--from new ways of controlling boys' use of video games, to innovative (and workable) education reforms.

http://www.amazon.com/Boys-Adrift-Epidemic-Unmotivated-Underachieving/dp/0465072097